金属の防錆に欠かせないリン酸処理
木材より丈夫でコンクリートより柔軟な金属は、あらゆる分野で使いやすい素材だと言えるでしょう。ただし、金属はそのまま使用すると錆びやすいというデメリットがあることは否定できません。そこで、金属の表面に防錆加工を行う必要があります。金属の表面をゴムやプラスチックでコーティングする方法もありますが、表面に傷が付くとその部分から水分が侵入して錆が広がってしまうため、あまり好ましくないでしょう。これに対して、リン酸亜鉛やリン酸鉄などのリン酸塩溶液を金属に塗布するリン酸処理は、防錆方法として効果的だと言われています。
というのも、リン酸処理を施した金属は、表面にリン酸塩皮膜が生成され、リン酸特有の結晶粒子がしっかりと金属を守るからです。これによって、たとえ傷が付いて表面の一部に錆が発生しても、それ以上錆が広がらない作用をもたらします。リン酸処理した金属は、何も加工しない金属より耐久性が高まるでしょう。
リン酸処理と消泡剤使用はセット!
リン酸処理を施しただけでは、金属の錆を防ぐことができても、表面に大量の気泡を発生させるという副次的効果を免れません。金属の表面にできた気泡は、放置すればそのまま固形化して異様な模様を残します。この気泡は外観を損なうだけでなく、素手で触れるとザラザラした不快な感触を与えます。さらに、気泡が金属分子の結合を弱める副作用も免れません。そこで、消泡剤を用いて気泡の発生を防ぎ、リン酸処理の効果を最大限に高める必要があるのです。
リン酸処理は車などのドアの表面に施されていますが、表面の潤滑性を向上させ美しさを高める現在主流の表面処理手法です。